相模原市のGIGAスクール構想の推進についてのご紹介

今回は、相模原市で行われているGIGAスクール構想の推進についてご紹介させて頂きます。相模原市の取組は、全国的に注目されており、提示資料も豊富なので、ぜひ参考にしていただければ、と思いピックアップいたしました。

相模原市ではGIGAスクール構想を通して子供がより主体的に問題解決する能力を育もうとしています。

相模原市の教育ではまずコンピュータを学習に利用できるよう子供を教育し、その次の段階として、コンピュータを利用して問題解決に利用する能力を育成することとしています。
そのような能力を育むことで、予測困難なこれからの社会において、主体的に問題を解決する資質・能力につながるとしています。

この先目指すべき学校教育
(出典: 相模原市のGIGAスクール構想の推進について 相模原市の目指すGIGAスクール構想の実現による教育のイメージ(856KB)
http://www.sagamihara-kng.ed.jp/jouhou-han/kyouikunojouhouka/data/2_001_GIGAimage.pdf(最終閲覧日:2020年8月24日))

では、子供が自主的に問題解決できるような能力を育むためには、学校はどうしたら良いのでしょうか?そのためには、先生が主体的・対話的な授業を行って行う必要があると考えられています。*1

もともと相模原市では、先生方が子供の「気づき」や「見通し」、「主体的な行動」「自己選択・決定」を授業の様々な機会に行えるように様々な研修、特にピックアップされているのはキャリアカウンセリング研修、を開く等、主体的・対話的で深い学びを推進しています。*2
そこへGIGAスクール構想を導入することで、先生が校務に使う時間を減らし、その時間を使ってより主体的・対話的な授業を実現しようとしているのです。*3

例えば、クラウドを用いてプリントや写真の印刷、小テストの作成・採点、ワークシートの印刷・配布等を一括で行うことで、授業の準備にかかる時間が大幅に短縮でき、先生に時間的な余裕が生まれます。

子供の個々の学習データが可視化されることによって、今まで取り組むことの難しかったことに取り組むことが出来るようになります。具体的には、個々の学習の結果に基づいた個別支援の実施や、習得した知識を活用した考える授業の展開、授業計画の質の向上が挙げられています。*4

個別最適化された授業の実現
(出典: 相模原市のGIGAスクール構想の推進について 1人1台端末による授業イメージ(2.4MB)
http://www.sagamihara-kng.ed.jp/jouhou-han/kyouikunojouhouka/data/2_002_teachingimage.pdf (最終閲覧日:2020年8月24日))

また、クラウドを用いることで、より主体的・対話的で深い学びも可能になるとされています。全ての子供が自分の意見を同時に書き込み、閲覧できるようになり、それがリアルタイムで表示されるようになることで、全ての子供が主体的に授業に参加できるようになります。

頻出するキーワードや意見の傾向をAIが先生に伝え、先生が別の側面からの意見を子供に提示することで、より対話的で双方向な授業が実現できます。

主体的・対話的で深い学び
(出典: 相模原市のGIGAスクール構想の推進について 1人1台端末による授業イメージ(2.4MB)
http://www.sagamihara-kng.ed.jp/jouhou-han/kyouikunojouhouka/data/2_002_teachingimage.pdf (最終閲覧日:2020年8月24日))

一人1台の端末とクラウドを活用することで、学校での学習だけでなく、自宅での学習でも、更に良い教育を子供に提供できるようになります。

現状では学校外で塾に通う子供とそうでない子供で学力に差がある傾向があるというデータが示されています。*5それに対し、一人1台の端末を導入することで、家庭でも子供の学習状況に応じた家庭学習が実現できるようになり、環境に由来する教育の格差の是正が期待できます。

実際にデジタルドリルを用いた個別学習によって、全ての児童生徒の学力が向上するという結果が確認されています。*4
また、塾での学習と異なり、クラウド上に学習データが残る為、先生は子供の家庭での学習状況も踏まえた授業を行えるようになり、より効果的な授業を行えるようになります。

その他にもクラウドと一人一台端末を導入するメリットとして、新型コロナウィルスの様な非常事態が起こった場合にも学習の継続を保障できること点や、様々な場面(保護者へのアンケートの実施や職員間での情報共有、委員会活動や部活動の情報共有等)での活動の効率化が挙げられています。*4

また、神奈川県の県立高校では、全校でG-Suite for Educationを導入しており、既にその活用が始まっています。*6
もしこれが小中学校にも普及するようなことになれば、以前ご紹介させて頂いた「奈良県におけるGIGAスクール端末共同調達の実例」のように、神奈川県内の小中高で途切れない継続した学習を実現され、更に先生の校務上のお手間を減らすことができるようになるのではないでしょうか。

相模原市の取組は、一人1台になることの利点を最大限に活かしていく、という強い決意の表れだと感じます。

話だけ聞いて「そんなの無理だよ」「現実を見ようよ」というのは簡単ですが、これだけのことをするために導入したのだ、と示すことで、市民や保護者の理解を得ようとする姿勢は学ぶべきものがあると思います。

この様に、GIGAスクール構想の実現によって期待できる、子供が自主的に問題解決方法を探す能力を向上させる取り組みと、一人1台端末の実践的な活用法の例として相模原市のGIGAスクール構想の推進をご紹介させて頂きました。このような考えを共有する一助となれれば幸いです。

<参考資料>

*1 文部科学省 主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2020/01/28/20200128_mxt_kouhou02_01.pdf(最終閲覧日2020年8月24日)

*2 さがみはら教育 2019.12 NO164
http://www.sagamihara-kng.ed.jp/kensyu-han/sakyou/sky164/sky164.pdf(最終閲覧日2020年8月24日)

*3 相模原市のGIGAスクール構想の推進について 相模原市の目指すGIGAスクール構想の実現による教育のイメージ(856KB)
http://www.sagamihara-kng.ed.jp/jouhou-han/kyouikunojouhouka/data/2_001_GIGAimage.pdf(最終閲覧日2020年8月24日)

*4 相模原市のGIGAスクール構想の推進について 一人1台端末による授業イメージ(2.4MB)
http://www.sagamihara-kng.ed.jp/jouhou-han/kyouikunojouhouka/data/2_002_teachingimage.pdf(最終閲覧日2020年8月24日)

*5 文部科学省 学力格差にどう立ち向かうか
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/08013006/003/014.htm(最終閲覧日2020年8月24日)

*6 相模原市のGIGAスクール構想の推進について 3 相模原市立学校教職員と児童生徒全員へのアカウントの配付
http://www.sagamihara-kng.ed.jp/jouhou-han/GIGA/(最終閲覧日2020年8月24日)

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